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司馬遼太郎著『殉死』

司馬遼太郎『殉死』

愛すべき「乃木の大将」のお話です。

西南の役での田原坂の戦いでは、負け戦ではないものの薩摩軍に軍旗を取られ、指揮官でありながら体を張って前線へ出て行き、日露戦争では旅順203高地を奪取し、多数の死者を出すもののロシア艦隊を撃沈させ、本人的には実力以上の賞賛をうけ、そして明治天皇崩御したのち奥さんと共に自害した方です。

 

希典は飄々としたへたれのイメージだったのですが、古き良き日本の精神とでもいうのでしょうか、生真面目で思慮深く、律義で謙虚、そして、命の重さを十分に知った上で
確固たる優先順位に沿って生きた人なんだなと思いました。

 

どんな信念があろうと「死」を自ら選ぶことに私は共感することができないけれど、人間味溢れ、悩みもがきながらも、結果として、この時代を象徴する「美しい生き方」をした人物だと感じました。


司馬さんの作品はどれもそうですが、読むたびに違う感想を持つので次はなんて奴だ!と言っているかもしれませんが、今はそう思います。 

命について深く考えるキッカケとなる素晴らしい作品です。