今野敏『欠落』

今野敏『欠落』

さっそく『同期』シリーズの２作目で、１作目の同期二人に、もともと仲が良かったという大石が加わり、今回は三人が活躍するお話になっています。

主人公は引き続き刑事の宇田川で、公安の蘇我、ＳＩＴの大石（女性）が絡んできます。刑事と公安の対立、というか「立場」の違いによる国を守る姿勢の違いに葛藤を感じながらも、自分の役割は何か、警察官とは何かと問いながら成長していく姿には感動します。

宇田川刑事は30代。先輩や上司の方針を受け入れ、自分なりに噛み砕き、仕事における自己形成を進める20代前半、自分では独り立ちできると思い突っ走るものの脇が甘いと叱られる20代後半、知識もスキルも場数も十分で自信を持って挑み始める30代、視野を広く、先を見通せる力が付き、”もっとも脂が乗る”40代、……そんな風に力強く成長していく過程が想像できます。

次は３作目の『変幻』です。