久坂部羊『無痛』

久坂部羊『無痛』

以前テレビドラマ化されているのを見て、本屋で立ち読みしたころ、内容が異なっていたので読んでみようと買って積読本になっていたものです。長編でしたがサクッと読了。誰にでもおすすめできるような作品ではない、というのが正直な感想です。

人物設定やエピソードは確かに地上波ドラマにするには過激過ぎて、かなりソフトに変えてあったんだろうなというのが第一印象。
作者は医者でもあるので、病気や障害に対する誤解や偏見が生じないように気を配った表現になっているけど、扱う側、取り上げ方によっては言葉足らずになって、差別やらなんやら苦情殺到しそうな紙一重。また、殺人や手術の描写があまりにもリアルで、医者だからそうなるのか？とも思いますが、少々やり過ぎ感は否めず、部分的に飛ばし読みしました。リアリティを求めるというのとはちょっと違うと思います。

結末はキレイに収めすぎちゃったのと続編ありきな結末に、思いっきり冷めてしまいました。中盤が面白い部分があって期待しただけに残念な気持ちが大きかったです。