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米澤穂信『満願』

米澤穂信『満願』

デビュー作「氷菓」は随分前に手に取ったことがあるのですが、文学作品をすごく意識した作風で簡単なことを小難しく表現する、まるで中2病的な作風に途中で嫌になって

読むのを辞めてしまっていました。

 

それから、米澤さんの作品を手に取ることはなかったのですが、表題のドラマをちらっと見てサスペンスとして重厚で非常に面白かったことから原作本にチャレンジしてみようと買って1年?くらい積本していた作品です。

 

まず、中2病的作風ではありませんでした(笑)澤さんの立ち位置は性悪説なのかな?理性や常識、それに愛や欲望が絡み合い、人はどう思いどう行動すべきかがテーマだと感じました。

全編通じて、重苦しい空気感に支配され、人間の愛憎や罪と罰をひしひしと感じさせられる作品群。中でも表題になっている「満願」は生臭く、良い意味で読後感が最悪で米澤さんの真骨頂ではないかなと勝手に思っています。

 

生臭い読後感、湊かなえさんにも通じるものがあり、読んだら嫌な気持ちになるのは分かっているけど読むことによって黒い想いを持つのは私だけじゃない、自分の善悪どちらの想いも肯定してもらえそうと、そうやって、ついつい触れてしまいたくなる中毒性のある作者さんなのかもしれないですね。

 

まだこの1冊を読んだだけでここまで言うのは単なる妄想かもしれませんが、別の作品も読んでみて、この妄想が妄想なのか確信にかわるのか試してみたいと思います。