モネのBitterBitsなBookCafe

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志駕晃『スマホを落としただけなのに』

志駕晃『スマホを落としただけなのに

北川景子さん主演映画の原作本です。実際にスマホを落として、悪用されたら、SMS詐欺、SNS乗っ取り、個人情報抜き取りに拡散、さらにネットストーカーなどなど、実際に起こっていて、自分もいつでも被害者になりうる非常に身近なことを題材に書かれたミステリーです。

 

誰を信じて誰を疑ったらいいのか最後まで戸惑う。読者を飽きさせない流れのお話で一気に最後まで読んでしまいました。が、感動、涙っていうのはないです。これが現代なのかな…と哀しさを感じてしまう場面もあり、随所にもやもや感が残ったのが何とも言えません。  

誉田哲也『ノワール』

誉田哲也ノワール

ブルーマーダーで活躍した東警部補が主人公です。『ルージュ』姫川玲子が主人公の作品の双子作品になります。とはいえ各々独立したお話として十分楽しめます。

 

序盤はドギツイ描写がありますが、そこを過ぎれば割とソフトな描写に変わります。沖縄基地問題、政治思想などが散りばめられ、結構攻めてます。そっち方面のややこしい話かなと思いながら読み進めましたが、複雑になり過ぎず、けど簡単には結果を推理できない内容で面白かったです。

 

しかしながら、東警部補には分かる分かるっていう思考回路や行動もなく感情移入し辛く、入り込めるストーリーか?と聞かれれば否。姫川玲子の圧倒的な魅力が恋しくなります。

有川浩著『阪急電車』

有川浩著 『阪急電車

 

恋愛系のお話が中心の短編集だけど、ひとつのお話でもあります。人前で読めば絶対に怪しまれるであろう、涙ポロポロこぼしたかと思えば、幸せニヤニヤ状態に陥ってしまうような大変危険で(笑)すばらしいお話の数々です。

 

中でも私の心に一番ぐいっと入り込んできた印象的なお話は、お祖母ちゃんと孫、時江さんと亜美ちゃんの場面での時江さんが語る「常識」です。

例えば、混んでいる時の席取りはしちゃいけない。大人が話している時は子供は口を出してはいけない。靴を履いたまま座席に乗らない・・・等々

 

自分もそうですが、近頃の風潮なのかな、公共の場での、これくらいいっか・・・の拡大への警鐘といったら大げさかもしれませんが、自分の行動や育児を見直すきっかけにもなったことが、この本を読んでの大きな収穫でもありました。お勧めです☆

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先日、スマホの機種変にショップへ行った際に、時江さんがこの場にいたら、一言物申すだろうなという出来事がありました

 

タブレット購入の20歳前後くらいの青年なのですが、店員さんが契約や取扱いの説明をしているのにずぅ~っとスマホをいじって(指の動きからしてゲーム)店員さんの方を見もしないで 「あ~、あ~」と生返事。

時折、かかってきた電話に応答(やたらデカい声で)電話切った後、店員さんの方を見もしないで、またスマホ・・・・と、何とも横柄な態度。

 

店員さんはそれでもイラッとした態度もせず、きちんとひと通りの説明をして、無言で商品持って帰っていく青年を送り出し笑顔でありがとうございました。

 

大変ですねと声を掛けたら、気持ちの良い笑顔で頭を下げられた店員さん。青年と同じ年代の男性だったのですが、立派だな、と感心しました。

宮部みゆき『悲嘆の門』

宮部みゆき『悲嘆の門』

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帯を見てはある程度リアリティのある犯罪小説だと思い込んで読み始め、私の苦手とするファンタジー?思想哲学系?と気づいた時には引き返せず、上中下の3巻を読み終わるまでに随分と時間を要してしまいました。

 

作者が伝えたい要は分かるし同感だけど、全く感情移入できず、脳内で映像化できないから、苦痛でした。苦手意識なく読める方には楽しめる内容のようですが、読み手を選ぶ作品ではないかと思います。

 

私の勝手な解釈かも知れませんが、桑田圭祐さん率いるサザンオールスターズの名曲『愛の言霊』から伝わってくるものとほぼ同じという認識です。

佐山和夫『金栗四三 消えたオリンピック走者』

佐山和夫『金栗四三 消えたオリンピック走者』

 2019年の大河ドラマの主人公だった金栗四三。これは、筆者の佐山氏が実際にその足で現場へ何度も赴き、関係者へ取材し、親交を深め、四三さんへの愛情、尊敬の念たっぷりに脚色することなく分かった事実に忠実に書かれた一冊です。四三の精神を知るにはもってこいの一冊だと思います。

 

四三は生まれながらに強靭な肉体を持っていた訳ではなく、幼少期は体が弱く病弱で心配されていた。しかし、困難を乗り越えるという強靭な意志を持って、強靭な肉体、体力、頭脳、チャンスをも手に入れる。上手くいかず悔しい思いをしても、そこには必ず次への闘志とアイデアが同居する。

先の先を考え準備し、行動する人並み外れた熱意。

一生、ゴールを設けず走り続けた人。

 

ギラギラしててカッコいい! 

誉田哲也『ルージュ』

誉田哲也『ルージュ』

同時刊行された『ノワール』とは双子の作品とのことですが、この作品単独でも、内容には全く問題なく楽しめます。

 

今回のお話は、世田谷区の三人惨殺事件を発端にして話は進みます。捜査難航している現実に起きた事件が連想されますが全くの別物です。

ただちょっと、どうなのかな・・・冒涜とまではいかないけど、遺族は不愉快なんじゃないかなと、後味悪い題材でした。

 

あともう一つ、ネタバレになっちゃいますが、

遺伝のせいにするんじゃなく、犯罪に至る経緯や加害者家族のことをもう少し書いてもらえるとすっきりしたのになと思いました。誉田さんの作品はいろいろ読んでいて、姫川玲子シリーズは敬愛していますが、ストーリーとは別にモヤモヤする点があり残念でした。

東野圭吾『ラプラスの魔女』

東野圭吾ラプラスの魔女

北海道の友達から贈り物、六花亭のマルセイバターサンド。冷凍して食べると美味しいのよね!懐かしの大好物っていうのもあるけど、旧友との繋がりが今でもあるという事実がとても嬉しく、ありがたく、心穏やかになります。

 

さて、安定の東野作品。今回は不思議系のお話です。

北海道での竜巻被害から始まります。

 

このようなミステリーはネタバレに繋がるので、レビューするのは難しいため、作中の心に残った言葉を紹介します。 

 

僕の家族たちは皆から愛され、大事にされていた。特別に優秀なわけでも、何かの才能に恵まれていたわけでもなかったけれど、愛してくれる人が周りのたくさんいたのだ。  

 

心にグッとくるものがありました。東野作品は、紡がれる一つ一つのエピソードや心理描写が読む人の心を揺り動かし、私達を深い思考の森に連れ出してくれるミステリーの範疇を超えたものが本当に多くありますね。